メジャーリーグには、公式ルールに明記されていない「不文律」と呼ばれる暗黙のルールが存在します。その中でも特に知られているのが、「大量リード中の盗塁を控える」というものです。
たとえば、試合終盤に10点以上リードしている場面で、攻撃側がさらに点差を広げるために盗塁を試みることは、相手チームに対して礼儀を欠く行為と見なされることがあります。
この不文律は、相手チームへの敬意を表すスポーツマンシップの一環として認識されています。野球は、得点の多寡ではなく勝敗を競うスポーツです。
そのため、大量リードの状況で盗塁を行うことは、「相手を過度に叩きのめそうとしている」という印象を与えかねません。このような行為は、相手チームだけでなく、観客からも批判されることがあります。
ホームランを打った際に選手が行うガッツポーズや派手なパフォーマンスも、メジャーリーグにおける不文律の対象となることがあります。
特に、相手チームや投手に対して挑発的と受け取られるような振る舞いは避けるべきとされています。野球は紳士のスポーツとされており、相手を尊重する精神が重んじられるためです。
ホームランを打った選手がベースを回る際、あまりにもゆっくりと歩いたり、バットを派手に投げ捨てたりする行為(いわゆる「バットフリップ」)は、相手投手や守備陣を侮辱する意図があると解釈されることがあります。
このような行動は試合の緊張感を高め、最悪の場合にはベンチクリアの乱闘に発展することもあります。
一方で、近年のメジャーリーグでは若い選手たちが登場し、個性を表現する文化が徐々に受け入れられるようになっています。一部のファンやメディアは、ガッツポーズやバットフリップを「選手の感情表現」として肯定的に捉えています。
しかし、依然として伝統的な価値観を持つ選手や監督も多く、この点に関する意見は分かれています。
メジャーリーグの不文律を破ることは、選手個人やチームにとってリスクを伴います。その一つが「故意四球」や「報復投球」といった形で相手チームから制裁を受ける可能性です。
これらの行為は公式には認められていませんが、暗黙の了解として行われることがあり、不文律を守ることの重要性を選手たちに強く意識させています。
たとえば、大量リード中の盗塁や挑発的なパフォーマンスが相手チームを刺激した場合、次の打席で投手がわざとボールをぶつけることがあります。
このような報復行為は、相手チームが不文律を破ったことに対する「警告」として行われるものです。
ただし、過度な報復行為は審判やリーグから厳しく罰せられる可能性もあるため、選手や監督には慎重さが求められます。